テフストーリー

2009〜2018

テフは棋譜を再現するためのツールだから脇役だ。その事実を知るのに時間が必要だったようだ。
歴史上の名勝負や進行中の名人戦などテフを使って14本の動画をYouTubeにアップしてみたが、反応は今ひとつ、一番多かった閲覧数でも380程度だった。
主役が必要だと思い、幕末の天才棋士・天野宗歩に巡り合った。その宗歩は1853年、定跡集「将棋精選」を出版している。
内容は六枚落から平手戦までの定跡を棋譜にしたものだ。
棋譜の再現だけならネット上に掲載されているが、テフでシミュレーションすれば、宗歩定跡の奇想と相まって、その視覚効果は比べものにならないと気付いた。

将棋精選の構造は六枚落から平手までの10区分、さらに83の小区分があり、春、夏、秋、イ、ロ、ハなどの注を振って変化を併記してあり、
総数330に達する定跡数だ。実現に向け棋譜をナンバリングする過程で、棋譜の枝分かれをフローチャート化して分岐図と名付けた。
棋譜アニメの合間に入れることで、定跡を俯瞰的に、分析しながら容易に深い学習ができるようになる。
付録として天野宗歩の実践棋譜集120局収載の「将棋手鑑」も同梱し、シミュレーション可能にした。
将棋を知る人すべてに、幕末の天才棋士の定跡と新しい将棋イメージを届けたい。
次には江戸3大棋書と言われる、残りの将棋歩式(1804大橋宗英)、将棋絹篩(1810福島順喜)を是非とも作ってみたい。


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